『MANCHESTER R.J. LEA 社発行(1912年)のカード』

ブリストル窯製のカップ&ソーサー
マンチェスターのR.J.リー社発行(1912年)のカードより
チェルシー窯製のカップ&ソーサー
マンチェスターのR.J.リー社発行(1912年)のカードより
 本サイトの→プリマスのページに掲載したカップ&ソーサーと類似する作品。プリマス窯とブリストル窯は同じ経営者によって平行して操業され、この形状のカップ&ソーサーは両窯で製造された。ハンドルのデザインや、カップに比べて小さめのソーサーなども、サイト掲載の写真と共通である。絵柄については、類似したものが「ヨーロッパ アンティークカップ銘鑑」p.217に掲載がある。
 カード裏面の解説文
「ブリストルにおいては早くともエドワード一世の治世下に窯場が作られた。デルフト焼きは1706年、磁器は1750年(注1)である。1770〜1777年にかけて、リチャード・チャンピオンのもとで事業は繁栄した。リングとその他の所有者たちによって、19世紀初頭まで継続された。ブリストルの磁器は艶のある滑らかな素地で、ドレスデン焼き(注2)のような光沢のある(ガラス質の)表面をしているため、しばしばそれと間違われる。イラストの作品はサウス・ケンジントン・ミュージアム(注3)に収蔵されている。」
訳者注
1.1750年=ベンジャミン・ルンドのステアタイト磁器窯を指す。
2.ドレスデン焼き=マイセン窯のこと。
3.サウス・ケンジントン・ミュージアム=ヴィクトリア&アルバート・ミュージアムのこと。
 本サイトの→コープランドのページに掲載したカップ&ソーサーのもとになったチェルシーの作品。ハンドルのデザインやカップの形状、平板で縁が斜めに立ち上がったソーサーなど、共通の造形であることがわかる。
カード裏面の解説文
「チェルシー・ワークスは1745年頃、チェルシーのジャスティス・ウォークの一角で創業した。初期の所有者はカンバーランド公爵とサー・エヴェラード・フォークナーで、マネジャーはフランス人のニコラス・スプリモントだった。中国やドレスデン(注1)の選ばれた製品を模倣した作品を製造することにより、大きな富を蓄積した。1769年にダービー・ワークスと合併した。1784年以降は移転(注2)した。」
訳者注
1.ドレスデン=マイセン窯のこと。
2.移転=チェルシー工場を廃止してダービー工場に一本化したことを指す。




『サン・クルー公園内に新築されたセーヴル磁器工場』
1864年10月15日付「ザ・イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」より

T.磁器焼成用の窯(三基。本焼成用・仕上げ用) X.上絵付け部門(採光のため南面しているのが通例)
U.製材部門(磁土の配合・釉薬の調合など) Y.窯の経営事務局
V.仕上げ・金彩部門 Z.政府の経営事務局
W.蒸気機関 [.旧セーヴル磁器工場(移転前まで使用)
工場に向って左には職人用のアパルトマンが見える。職人は薪や壺を運ぶ人が見え、立派な身なりをした人もかなりの数が訪れている(夫婦や家族同伴)。画面上方にかけて道が整備されて、道には大型の乗合馬車(車輪が六輪)が走っており、旧工場との間に定期便が往来していたことがわかる。