ウィリアム・ヘンリー・カー&Co.(カー&ビンズ・ウースター)
1852〜62年 陰刻で、商標登録された通常のカー&ビンズ・ウースター社の窯印
ティー・カップ:H=64mm、D=77mm/ソーサー:D=142mm
 本品は1852年にチェンバレンズ・ウースターを引き継いだカー&ビンズ・ウースターが、発足間もなくデザインしたカップ&ソーサーである。時折窯印がない作例も見かけるが、この作品には陰刻でウースター社のロゴが入れられている。
 ピンクの地色と艶のある空色のラインで構成された図柄は、カー&ビンズ・ウースター社が18世紀のセーヴル窯風のデザインを模倣したシリーズのうちの一点で、他にも同様の配色で柄違いのカップ&ソーサーをいろいろ製作している。それらのうちでも本品は、最もフランス磁器の風情を強く前面に打ち出した作品で、シリーズの中でも特に優れた意匠といえる。
 俗に「キャベツの葉」とも呼ばれる五分割の偏扇形の中には、うねるような曲線美を伴ったロココ風の花文様が、精緻な手描き金彩で施されている。外枠を形成する空色は、セーヴル窯の「ブリュ・セレスト(空の青)」の模倣で、上には盛り上げ金彩(レイズド・ゴールド)によるドット連文がのせられている。
 ハンドルは植物をかたどった複雑な形状をとる。材質はボーン・チャイナである。
 

サイトに掲載の写真、文章等の無断転載・転用は堅くお断りします。
Copyright (C) 1999 mandarin d'argent, LTD. All rights reserved