ダービー・クラウン・ポーセリン
1888年 商標登録された通常のダービー・クラウン・ポーセリン社の窯印
コーヒー・カップ:H=55mm、D=61mm/ソーサー:D=111mm
 薄いピンク地に盛り上がったエナメルで梅の花と蕾、盛り上げ金彩二色(赤金・青金)で葉、盛り上げプラチナ彩で枝を描くという、贅沢な装飾技法が用いられている。日本の漆芸の高蒔絵などをヒントにしたジャポニスム・デザインの作品である。カップとソーサーの縁近くには、腐食地文金彩(アシッド・ゴールド)で、古代ギリシア〜ペルシアにかけての地域に栄えた文明で描かれた、古典的な葡萄唐草文様があしらわれている。
 本品はアメリカ・ニューヨークのティファニー&Co.からの注文で製造され、同店で販売されたものである。窯印に添えてティファニーのリテイラーズ・マークが書き入れられている。
 二色の盛り金と盛りプラチナ彩・エナメルを用いた同社の作例が、「アンティーク・カップ&ソウサー」p.113 に掲載してあるので、ご参照いただきたい。
 





ダービー・クラウン・ポーセリン
1883年 商標登録された通常のダービー・クラウン・ポーセリン社の窯印
ティー・カップ:H=65mm、D=72mm/ソーサー:D=136mm
 ダービー・クラウン・ポーセリンは、ロイヤル・ウースターの筆頭株主だったエドワード・フィリップスと第二株主だったウィリアム・リザーランドにより、ロイヤル・ウースターの商売に対抗することを目的として、1876年に創立された。製品が供給され始めたのは二年後の1878年からである。
 このメーカーは東洋柄を写した絵柄にアレンジを加えたデザインで、デュズベリ、ブルーアの旧ダービー窯の意匠を模倣する方向性を意識した、伊万里・柿右衛門写しの食器類を多く製作した。本品も典型的な伊万里風の配色と図柄で、紺と赤の地文様と窓枠内に立花文があり、ソーサー中央部には花器文の壺があしらわれている。
 ハンドルは特徴的な装飾部分を持つリング・ハンドルで、類似形状のコーヒー・カップが「アンティーク・カップ&ソウサー」p.153に掲載してあるのでご参照いただきたい。
(ダービー・クラウン・ポーセリンの会社設立までのいきさつやその後の沿革については→ロイヤル・クラウン・ダービーのページ参照)
 

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