リシャール
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1815〜25年 褐色で Richard rue d'hauteville 17.19 Parisの窯印
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ティー・カップ:H=56mm、D=93mm/ソーサー:D=131mm
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リシャールはパリのドートヴィーユ通り17番地と19番地にあった磁器上絵付け工房である。白素磁はセーヴル窯やピエール・ルイ・ダゴティ窯などから購入し、ふんだんに金彩装飾を用いた贅沢な色絵付けで、貴族趣味の高価な製品を作った。 本品の造型は「ハート・ハンドル付きのダゴティ型シェイプ」と呼ばれ、1810〜20年代に流行したフランス趣味の食器を代表する形状である(「ヨーロッパ アンティークカップ銘鑑」p.69、「アンティーク・カップ&ソウサー」p.236参照)。ハンドルは「ハイ・リング・ハンドル」のヴァリエーションで、ハート(心臓)型ともキドニー(腎臓)型とも呼ばれるデザインのループを伴っている。 色絵はカップの正面(ハンドルの反対側)に一面と、ソーサーに二面の風景画が描かれている。カップには湖水の畔に牛二頭、羊一頭、走る犬を配置し、対岸の林の向こうには城館と思われる建物が、空気遠近法を用いて薄暗く聳えている。ソーサーの風景には動物はおらず、立木に囲まれた水辺の田舎屋を描いた静かな画面になっている。 金彩では明るい青地に菊花状のロゼットやイスラーム由来の立花文を描き入れ、周囲には薔薇の花と葉をチェイシング(金彩磨き)技法の陰影で立体的に表現している。風景画の天地と左右にもチェイシングによる額縁装飾が施されている。カップの内側とハンドル、口縁部、ペディスタル部、ソーサーの口縁部と井戸周りの金彩は磨かれ、鏡面仕上げになっている。 本品にはカップ、ソーサーともに、このティーセットを注文した人物のイニシャルとして「MNMO」の飾り文字があしらわれている。 |
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