ピンクストン
1805〜10年
コーヒーキャン:H=63mm、D=64mm/ソーサー:D=144mm
 ピンクストン窯は、ダービーシャー州の東の州境いに位置し、1795年から建設と製造準備にかかり、1796年より生産を開始した。設立者は現地の富豪ジョン・コークと、ダービー窯の絵付け師だったウィリアム・ビリングズレイだが、コークには製磁の知識がなかったため、実質的マネジメントはビリングズレイが行った(「アンティーク・カップ&ソウサー」p.192参照)。窯の絶頂期は1797〜98年で、それから一年の後には経営が破綻し、1799年 までに職人の半分近くが窯を去っていった。
 同年ビリングズレイも窯を去り、コークは1801年にヘンリー・バンクス(ジョン・トーマス・ベル説もあり。両者はバンクス&ベルという弁護士事務所を経営していた)の資本を入れたが、この人物も窯業経営の経験がなく、1803年には提携を解消している。
 1806年にはダービー窯の絵付け師だったジョン・カッツに窯を貸与し、創業から十七年目にあたる1813年に閉窯した。
 浅いキックがはいったループ・ハンドルと、底部にかけてわずかなテーパー形状をとるこのコーヒーキャンは、ピンクストン窯の典型的形状で、339番のシェイプと記録されている。三分割された区画にそれぞれ異なる伊万里風の花絵が描かれており、この絵柄のパターン・ナンバーは342である。
 

 

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