メイチン&Co.
1805〜10年
ティー・カップ:H=58mm、D=78mm/ソーサー:D=135mm
 茶色の楕円形の上に黒で細かい編目文様を描き、周囲に鋸状の金彩の枠を施している。楕円形の間に染付と金彩で円形のロゼット文様があり、そこから伸びた緑の葉が、スクロール状に全体を繋いでいる。このデザインは、1760年代のセーヴル窯で描かれていた図柄に基づいており、本品では柳の葉のように見える緑色の部分は、セーヴル窯では細く多枝に分かれた藺草もしくは椰子か棕櫚の葉文様で、楕円文様の上を横切らないようになっている。セーヴル窯の洗練された描き方に比べ、本品の色絵の雰囲気はかなり野暮ったいが、これでも製造当時はフランス風の洒落た意匠として企画された製品だった。
 





メイチン&Co.
1805〜10年
ティー・カップ:H=58mm、D=81mm/ソーサー:D=141mm
 丸く形のよいリング・ハンドルが付いたビュート・シェイプのカップである。釉薬は透明で、非常に細かいヒビ(クレージング)が入り、一部は虹色の油膜が張ったように変化している。
 本品に見られる大胆な花柄は、ニューホール窯やミントン窯でも製造されているため、判別には注意が必要である。メイチン窯の磁胎は粘りがなく脆い感じなので、見分けることはさほど困難ではない。
 「アンティーク・カップ&ソウサー」p.51に、本品と同じ形で絵付けが美しいメイチン窯の作品を掲載してあるので、併せて御覧いただきたい。
 





メイチン&Co.
1815〜25年
ティー・カップ:H=56mm、D=90mm/ソーサー:D=139mm
 メイチン&Co. は、1793年にジョゼフ・メイチンがバーズレムに設立した絵付け工房に始まる。1809年頃には窯を建設し、1810年以降は自社で磁器を焼くようになった。スタッフォードシャー窯業群に属し、「ウォータールー・ポタリー」と称した。ジョゼフ・メイチンの没後は未亡人が株を引き継いで、会社はメイチン&バガレイとなり、1833年からはメイチン&ポッツとなった。事業は1837年まで続き、1838年に廃窯となった。

 この作品はストーン・ウエアに近い色合いで、骨灰含有のフェルスパー(長石)磁器が使用され、適度な透光性を持つ。底の見込み部分は、紙のように薄く作られている。染付による藍地にはムラがあり、一部白抜きで時計草(パッションフラワー)の図が、金彩によってあしらわれている。楕円形に抜かれたパネルには、鮮やかな発色の上絵エナメルで、紫とピンクの小菊が描かれている。
 形状はロンドン・シェイプで、写真の他にコーヒーカップが添っており、トリオのセットになっている。パターン・ナンバーは374である。
 本品に使用されているのと同じ緑や青翠の顔料で、美しい中国写しの色絵を描いた作品が、「アンティーク・カップ&ソウサー」p.51に掲載してあるので、ご参照いただきたい。書籍掲載品は大変白い釉薬のボーンチャイナ製である。
 

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